アルプス式輪行方法

アルプス式輪行は慣れないと時間がかかる。
ある時アルプス店主にどのくらいの時間で輪行できるのか聞いた。返ってきた答えは5分だった。「それは袋に詰める時間も含めてですか」と聞くと、袋に入れる前までだと言う。それでも最初の頃の私は3,40分掛かっていたのだから驚きだった。この遅さが嫌でもっと簡便な方法にしようと何度思ったことだろう。
アルプス式輪行の最大の利点はコンパクトにできることだろう。5分でできるということを聞いてこれは慣れの問題が一番かと思い、他の方式に変えるのはいつでもできるのでしばらくアルプス式輪行を続けていた。今では袋に詰めて動き出すまで15分前後というところまで短縮できている。
私のやり方は下に挙げたカタログとちょっと違うところがあるので、簡単にメモしたい。
1.
サイクリングを終え最寄りの駅でさあ輪行しようという直前。
リアのモスグリーンのものは輪行袋を入れた簡易サドルバッグ。ちなみに赤茶色のものはレインウェア一式。
(この写真は東武日光線新鹿沼駅前。ここは6畳ほどの広さが市有地となっていて交通の妨げにならないスペースが確保されているので輪行支度には重宝している。いずれ再開発でロータリーの一部となる用地かもしれない。)

2.
最初にフロントバッグを外し、簡易サドルバッグから輪行袋を取り出す。アルプスの輪行袋には小袋が付属していたが、私はこの小袋に輪行袋を入れ、簡易サドルバッグに納めている。これは輪行袋の折りたたみに神経を使わない為である。

3.
フレームカバーをフレームに巻き、事情が許せば輪行袋は広げておく。そういえばサドルカバーも被せるんだっけ。

4.
ブレーキ本体からブレーキワイヤーを外し、ブレーキレバーからもワイヤーを外す。


5.
リアガードを外し、環付きネジは元のところに軽くネジ込んでおく。

6.
6mmアーレンキーを使い、ペダルとハンドルステムを抜く。(アーレンキーを使うのはこの作業のみ)

7.
ヘッド小物を外す。この時フォークはまだ抜かない。外したヘッド小物は小袋にまとめて入れる。(アルプスでは無くさないように抜いたフォークにはめ直すのが推奨されていたが、これが結構手間だということと自宅最寄り駅で組み立ての際にまた外して入れ直すということが面倒なのでこのようにしているが、無くさないように神経を使う必要はある)

8.
フロントフォークを抜き、リアタイヤを抜く。
リアタイヤとガードはこのようにバンドでまとめておくと次からの作業がしやすい。


9.
フリーを下側にしてリアタイヤ、その上にフロントギアを手前側にしてフレームを置く。
チェーステーのダボからシフトワイヤーを抜き、リアディレイラーからシフトワイヤーアウターを外す。(上記カタログ「変速アウターの破損防止」参照) チェーンをチェーンフックに掛け、この時シフトワイヤーがフロントギアに噛まないように気をつける。



10.
フレームの上にフォークを載せる。ハンドルを知恵の輪のようにフレームにセットする。この時もハンドルの片方はバンドで留めておくと次からの作業がし易い。

11.
最後に3点をバンドで止める。

12.
輪行袋には前後があるので、サドルを載せる側をあらかじめマーキングしておく。別色の布を縫い付けるのも手だろう。(これをしないと最後にファスナーを閉める時に入らなくて入れ直すというロスを何度か経験した。)

13.
サドルとディレイラーを下にしていったん輪行袋に入れる。うまくいけばこのように自立する。

14.
小袋にペダルとヘッド小物を入れ輪行袋の開いているところに入れる。(あらかじめ入れるとファスナーを閉めるときに手間取るので私はこうしている。)



15.
完成。小物の忘れ物が無いかあたりを見回すことを忘れないように。

早くなったといっても、ロードのように簡便には行かないが、このコンパクトさは代え難い。欠点は輪行を重ねるとどうしてもフレームに傷がついてしまうということ。フォークとフレームの間に薄い布を1枚挟むと良いかもしれない。
このアルプス輪行バッグの良いところは右肩・左肩用にバンドの穴が二種類用意されていることと、ちょっとした移動にフレームを掴む小穴が用意されているところだろう。これも長年の改良でできた結果だと思う。心配なのはこの輪行袋が駄目になった時にどこで調達すれば良いかなのだ。
green_alps545 さんのBlogで知ったのだが、このアルプス式輪行方法を考案された2代目店主・萩原慎一さんが最近亡くなられたようです。日本のツーリング自転車界に多大な功績を残されました氏に謹んで哀悼の意を表します。

アルプスの輪行カタログ(PDF)
(カタログのWEB公開に関し著作権保持者や関係者の方にとって何か問題があるようでしたらご連絡下さい。)
アルプス輪行車の分解
アルプス輪行車の組み立て
輪行バッグへ収納のための組み合わせ方1
輪行バッグへ収納のための組み合わせ方2
変速アウターの破損防止
輪行バッグの使い方

アルプス式輪行方法” に対して6件のコメントがあります。

  1. tshuichi より:

    手馴れた感じですね キチンと重ねて縛れば自立しますし、キズも最小限ですみます 最近は誰も指導しないからデカイ輪行袋に前輪だけ外して持ち込む方がいます  見ていて恥ずかしいです
    いかにコンパクトに手際良くまとめるか 競ったものです 分割のガードは使っているとカタカタ音が鳴るので チェーンブリッジに差込タイプに変えたり色々試みました
    昔、関西の近鉄電車が自転車持込禁止でした  理由は輪行袋が倒れて女の子に当たり怪我をさせたからです 
    我々はサイクリストを代表して輪行していると思わないといけないでしょうね 一部の心無い人の為に輪行出来なくなるかもしれないのですから 自転車にキズがつくより 他人に怪我をさせないように注意しないといけないと思います

  2. より:

    tshuichiさん、私には耳が痛い部分もあります。(^^;) 
    アルプス式輪行も最初は抵抗あったのですが、慣れるとこのコンパクトさはイイですね。

  3. KADO より:

    Alpus式輪行の記事懐かしく拝見いたしました。私もこのスタイルで旅行しました。30年ぶりに自転車をレストアしましたが、この輪行袋を新調したいと願っております。

    1. より:

      KADOさん、返信が大変遅れて申し訳ないです。
      私も経験がありますが、返信があまりに遅いと嫌になってしまいますよね。
      ALPSの輪行袋、どこかで再発売してくれませんかね.

  4. east_bred より:

    大分古い記事ですが、私もちょっと書き込みをさせて頂きます。

    私のペガサス・1号機は特別な事は何もしていませんが袋に入れるまで5分で入ってしまいます(^O^)/。
    バラして/組み立てている最中は其れこそ両手片足(その最中は当然片足立ち(^^ゞ )を総動員してやるのですが、ホントに慣れれば5分で入ってしまいますネェ。

    1. より:

      east_bredさん、信じられません。今度見せてもらいたいもんです。(^-^)/
      まぁ、15分ぐらいで十分なんですけどね。

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